北朝鮮当局は若者、とりわけ30代に対する思想統制を強化していると政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。若者から金正恩第一書記が「軽く見られている」ことが理由だという。
平壌国際空港を視察する金正恩氏と李雪主夫人
平安北道(ピョンアンブクト)のRFAの内部情報筋によると、当局は「過渡期世代」と呼ばれる30代、つまり金正恩氏と同年代の若者に対して、徹底した思想教育を施すようにと繰り返し強調している。
当局は各機関、工場、企業所に「組織生活検閲隊」を作り、30代の従業員を対象に思想教育、思想検証を厳しく行い、問題のある者は保安署(警察)に引き渡して法的に罰を受けさせるという徹底ぶりだ。
慈江道の満浦(マンポ)市では、検閲隊員たちが「党の唯一思想体制確立の10大原則」を覚えられなかったり、仕事もせずにぶらぶらしている若者たち数十人を引っ立てて、思想闘争会議を開き、仕事をする意志のない者は保安署(警察)に引き渡したという。
北朝鮮当局が、とりわけ若者に対して思想統制を強化するのは、平壌で起きた「ある事件」がきっかけだった。
幹部を親に持つ若者たちが、次のように金正恩氏を遠回しに批判した。
「俺達と同い年のやつ(金正恩氏)が、まともに政治ができるわけない」
この発言が明るみに出て、大問題になった。事件の噂は、既に住民たちに広く広まっているが、学生たちが具体的にいつどこでどのような話をしたかなど詳細は不明だ。しかし、最近の若者は金正恩氏を「チェスオプタ」などと、露骨な表現を使って批判するという。
「チェスオプタ」とは本来は、「アンラッキー」「いまいましい」と言う意味だが、韓国では「チョームカつく」という意味合いで使われる言葉だ。韓流ドラマのなかで使われていた表現が、北朝鮮の若者に広まったことは容易に想像がつく。
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